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小泉清子

清子の思ひで

第十一話 不合格

担任の先生にそれを報告すると、びっくりした表情で、「勤めるんですって?他の学校を受けなさい、幾らでもあるから・・・・。勤めるなんて経歴にキズがつきますよ」と言った。「でも勤めることにします」。私の決心は固かった。職業婦人になることがなぜ悪い、働いてお金をいただくことが、なぜ経歴にキズがつくのだろうと反抗したかったが、この言葉で、むしろ働く意志は強固になった。

家でも両親が大反対だった。たしかに、当時の社会風潮は、働く女性を一段低く見る偏見があり、「娘を稼ぎに出す」のは家の恥という考え方も根強かった。師範に落ちた私は、全く逆の道を歩むことの方が、未知の世界にチャレンジすることによって、新しい夢を開拓できると思った。女性の働くことを喜ばない社会通念を破ってみせたかった。

間もなく、就職先は、日立と内務省と二つみつかった。一つの学校だけ受けて失敗した私は用心深くなって、二つ受けることにしたのだ。数学は両方ともできた。日立からはすぐに入社決定通知が届いた。内務省からは音沙汰がなかった。二十人に一人というという倍率ではとても駄目だとあきらめて、日立に入社した。当時、丸の内の郵船ビルが本社だった。女子事務員として、大きな部屋の一番隅の汚れた机が与えられた。入ったその日から机に向かう。今のような新入社員教育もなく、会社の説明もない。もちろん、給料が幾らなのかも知らされない。入った日からのブッツケ本番である。

私の机は入口のドアのすぐそばで、暖房もない部屋の入口から寒い風が容赦なく入る。社員はひっきりなしに出入りする。大勢の女子事務員が、いかにも慣れた手つきで伝票を処理している。「これを計算して」と先輩の女子社員が私の机の上にソロバンと、ガサッと部厚い伝票の束をおいていった。

「コマッタ」と思った。ソロバンは小学校の時に習っただけで、女学校では受験勉強に熱中していてソロバンを手にしたこともない。たどたどしく、ソロバンをはじきだした。前後左右の女性たちは、一斉に手のろい私のソロバンを横目で意地悪くみている。何回やっても合わない。余計あせる。こんなことだったらソロバン塾へ通ったのに、今夜から必ず練習しよう、と思った。

あの頃の日本は?

二・二六事件。プロ野球始まる。沢村栄治投手が、史上初のノーヒット・ノーランを達成。


  • 第一話 昭和二十二年九月二十八日、大安の日、「鈴乃屋」は誕生した。
  • 第二話 紅絹に感ずる女の業
  • 第三話 震災のあとの七五三
  • 第四話 小学生の頃
  • 第五話 馬とび
  • 第六話 麦ご飯のお弁当
  • 第七話 母
  • 第八話 二足のわらじ
  • 第九話 女史になれ
  • 第十話 コンデェイションとコンディション
  • 第十一話 不合格

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